ショスタコーヴィチ
先日、NHKのプレミアムシアターで放映していた佐渡裕のベルリン・フィル定演の模様を視聴しました。演目の中心はショスタコーヴィチ*1の5番、日本においては「革命」という副題が付されることもある交響曲です。
ショスタコーヴィチ「交響曲第5番フィナーレ」 - YouTube
ショスタコは1937年に初演されたこの第五番を、前作に対して寄せられたソ連当局の厳しい批判の中で書き上げたとされており、この第五番で見事な名誉回復を成し遂げたとされています。そうしたことを念頭に置きながら聞いてみれば、確かに実にソヴィエト的な曲です。しかしながら、全体としてマーラーの影響を感じるほか、上に示した四楽章の中にも、ロシア的な旋律が含まれており、聞いていくと非常に清々しい気分にさせられます。
この第五番を巡っては、様々な解釈が繰り広げられました。主として「体制に迎合しているのか否か」という点に収斂しますが。社会主義体制下において、当局によって様々な権利が制限される中で、芸術家がどのような表現を行うかも厳しく問われました。とりわけ、ショスタコーヴィチのような国を代表する作曲家に対しては厳しい批判も数多く寄せられました。そうした中で、彼はどのように音楽を表現したのでしょうか。
社会主義と音楽(あるいは政治と音楽)というのはとても興味深い話題で、非常に多くの論考がありますが、「この曲を作曲した際の筆者の心情を答えよ」というのはひとつ大きな難問であるのかも知れません。
とはいえ、聞く側とすれば、こうした「講釈」はほとんど不要のもので、純粋に音楽を楽しめればそれが良いわけです。しかしながら、美しい旋律の中に、作曲家の葛藤が微妙に表現されていることを感じ取れれば、それも良いかと思うのです。
余談ですが、11月2日~4日に大学祭があります。ことしも鉄研ブースにおりますので、ご興味の方は是非どうぞ。国立西キャンパス、本館35番教室です。